発酵と腐敗2011/01/28 14:41

発酵と腐敗といえば食物を思い浮かべるが、ここでは畑の土壌について考えたい。慣行農法は土壌微生物の働きよりも、化学製品(農薬、化成肥料)に依存し、微生物の働きを無視はしないまでも、当てにはしていない。
有機農法について書かれた文章などで、最近よく目にするものに「畑のよい土壌は、発酵していて腐敗していない」というのがある。
食物を対象にした場合、発酵か腐敗かは、人間にとって有益か有害か、によって区別されるらしい。麹菌、酵母菌、乳酸菌などが働けば発酵に、腐敗菌は腐敗に繋がっていくのでわかりやすい。腐敗菌がたんぱく質を分解してアンモニア、アミン、硫化水素を生成させることが腐敗とある。
畑の土壌に関しては、少し難しい。畑の土を口に入れることはないので、何が有害で、何が無害かの判断は食品の場合とは違ってくる。
アンモニアは人体に毒性があるが、酸と反応生成したアンモニウム塩は化成肥料(硫安、硝安)などとして利用されている。硫化水素の硫黄臭は硫黄化合物なので意外ではないが、硫黄が野菜栽培に必須の微量元素だということは一般にはあまり知られていない。
腐敗菌の働きがもたらすものが畑の土壌に有害なものばかりだとは簡単に断定できないが、直感的には、よいものばかりとは思えない。窒素肥料分過剰や腐敗によって発生するアンモニア・ガスは植物に有害である。
一方、発酵では、麹菌は好気的条件で炭水化物から糖を生成し、嫌気的条件で糖をエネルギー源に酵母菌は糖をアルコール、窒素をアミノ酸を変え、乳酸発酵は糖から乳酸を生成する。発酵がもたらす生成物はいずれも人体にはもちろん、畑の土壌にも有益なものばかりのようだ。
土壌の浅いところで麹菌が働き炭水化物から糖を生成し、その糖をエネルギー源と材料にして、やや深いところで酵母が栄養分としてのアミノ酸を、乳酸菌が土壌殺菌剤としての乳酸を生成する、が理想的なのだが、あいにく目には見えない。栽培植物の様子から間接的に知るしかない。

天候:晴れ、夕方から曇り 気温:-3℃-7℃
作業時間:11:30-13:15
ダイコン(大師)播種
畝(幅1.2m、長3.5m)、畝間40cm、株間40cmチドリ2条で点蒔き。1cm弱の深さの種にフルった土を被せる。水遣りをして不織布をベタ掛けにする。午後に用事があって、保温用のビニール・トンネルをかけることができなかった。
カメラを忘れてしまったので、画像による記録ができなった。