日陰の仕事2010/10/03 07:55

家事と言えば、日陰の仕事(shadow work)=金にならない日の当たらない仕事の代表だ。そのため、現代の生活は、いかに家事を省力化するかに重点を置かれてきた。私はそれにずっと違和感があった。生きることの基本がどうしてここまで軽んじられるのだろうか。

スーパーに行って有り余る食材を前に、和食、中華、洋食などジャンルを問わない食事を毎回考えるのは苦痛かもしれない。量販店で安く買える便利な小物が溢れている家の掃除も大変だ。洗濯だけは洗濯機のおかげで楽になっているが、天気を睨みながら干したり取り入れたり、けっこう時間を拘束される。それに何も収入の足しにならない。
しかし、生活の質の向上に肝心なことは、これらの家事をいかにこなし、楽しむことができるかだろう。旬の地場野菜中心のメニューを考え、単純化しすればよいのだ。年間を通じればこちらの方が季節感があり、変化を感じられるはずだ。掃除だって、適度な広さの家で簡素に生活すれば、あっと言う間に終わる。収入が増えたとしても、経済規模が拡大すればインフレが進み、生活が豊かになるとは限らない。物欲がすべてならば別だが。

同じことは農業にも言えそうだ。金にならないし、同じ姿勢の作業で苦痛を伴うことも多い。この点では、これも日陰の仕事(shadow work)と言えそうだ。酷暑の夏の「日陰の仕事」は歓迎されそうだが・・・

農業に関わるようになって、キャベツ1個が300円で高い、というニュースが流れると、そんなことはない、と思ってしまう。長い時間丹精を込めて育てているので、できれば売りたくない、というのが人情だろう。プロではないので自家用が主体なので問題ないのだが、1個100円で売らなければならないとしたら、けっこうおざなりな栽培方を考えるだろう。
近い将来、野菜を売って歩こうと考えている。できれば行商をしながら対面販売をしたい。苦労が報いられるのは、おそらく「美味しい野菜」と言ってもらえることだろう。お金ではない。

結局、富の追求をするばかりで、生活の中核をなす仕事を日陰に追いやったことで大事なことを見失っているように思う。仕事に当たる英語にはwork,job,laborなどがある。workには仕事以外に作品などという意味もあって幅が広い。職業としての仕事はjobで、労働ならlaborだろう。日本語の仕事の意味の範囲は広すぎるようだ。

農業はwork、job、laborのいずれにもなる。要はどのように農業に向かい合うかだ。日陰の仕事=shadow workにはしたくない。workには価値創造の要素がある。
(「Shadow Work」はオーストリアの哲学者イバン・イリイチの著作の題名です。一世を風靡したので、ご存知の方も多いのではないでしょうか)

天候:晴れのち曇り 気温:16℃-23℃
作業時間:8:45-10:00
新しい畝に米ぬかを散布
米ぬかの散布
できれば1ヶ月前にこの作業を終えておきたかった。

虫取り
ヨトウムシの中齢幼虫がたくさん見つかった。これが老齢幼虫になると、昼間は土中に潜ってしまい発見が困難になる。数日の中に徹底した虫取りをする必要がありそうだ。虫食い状態からするとまだまだいるはずだ。すでに老齢幼虫になっているとすると駆除が困難だ。

観察:
安定群落庭園のイメージ。
イチゴとカタバミ
イチゴと野草のカタバミが仲良く共生している。裸地に野菜だけが生育している光景より心地よい。