雑草と野草2010/10/09 19:09

雑草と野草との間に定義上異なる点があるのか、辞書(大辞林)で調べてみた。
雑草:人間が栽培する作物や草花以外の、いろいろの草。田畑・庭園・路傍・造林地などに侵入して、よくはびこる。多数の帰化植物が含まれる。
野草:山野に生える草。

ほぼ同じものと考えていたが、まったく意味が違う。一方が人工的立地にのみ生育するもの、もう一方が自然にのみ生育するもの。同じ植物でも、その生育する場所で、違った呼び方がされる。
辞書ではなく、<「日本の植生」宮脇昭編p.108>には、もう少し詳しく述べられている:・・・作物以上に適応し、しかもはるかに生活力も繁殖力も強い植物が侵入している。これが<雑草>である。雑草を生態学的に定義すれば、耕作地などのように人間によってつくられた立地、つまり、”変化しやすい人為的に不安定立地に生育する、人間が目的としない植物の特殊な1群”ということができる。
<p.112>雑草のふるさと
雑草は、人間が定住して自然を開発し、農耕地を管理するようになってから、そこに繁茂するようになったものである。
それでは、人間が農耕をする以前には、雑草はどこに生育していたのであろうか。雑草の自然のふるさとは、たえず新しい土砂や有機物が蓄積する山足部や、1年に何回か、大水であらい流される河原のはんらん(氾濫)原である。

イチゴの周囲にはカタバミがびっしり生えている。
イチゴとカキツバタ
カタバミが密生しているところには、他の雑草がほとんど生えていない。
カタバミをイチゴのバンカープランツとするならば、人間の目的となったカタバミは「雑草」ではなくなる。このような例を他に探すと、ハコベ、ヨモギ、ギシギシ、スベリヒユ、カラスノエンドウなどが候補に挙げられそうだ。
こうした関係を一般化できれば、雑草が自然に抑制され、作物とバンカープランツによる<安定群落の庭園=Climax Garden>の実現に一歩近づけそうだ。
畑でなく庭園としているのは、畑を潤いのない野菜工場にしたくないためだ。見た目も楽しめる草花をバンカープランツとして考えている。
雑草の繁茂を防ぐもう1つの手段は、土壌に変化を与えないことだろう。つまり、耕さない。