緑の館2010/09/01 19:15

ゴーヤに覆われた緑の館ならぬ四阿。「緑の館」といえば、南米の熱帯林を舞台にした物語だが、映画化されオードリー・ヘップバーンとアンソニー・パーキンズが演じたことで有名になった作品だ。原作者のW・H・ハドソンの名前は「ラ・プラタの博物学者」での方がよく知られている。博物誌的な作品としては「はるかな国・とおい昔」もある。
ハドソンの自然観察眼には学びたい点が多々ある。クライマックス・ガーデンを名乗りながら、観察がまだまだ足りない
緑の四阿
夏の強い日差しを遮ってくれたゴーヤも葉が黄ばみだし、勢いに衰えが見え始めた。暑さがいつまでも続くようでも、自然は季節の移ろいに忠実だ。常緑の熱帯雨林ならばいつまでも「緑の館」でいられるのだろう。

ニンジンが大きくなっていそうなので、数本抜いてみた。どれもこれも虫食いだらけだった。
虫食いのニンジン
ニンジンの下に赤い虫の幼虫がいる。
虫食いニンジンの中
中心部は奥まで虫が侵入していたらしく、食べられそうな部分は残っていない。この虫は何か・・・ニンジンと同じ色をしている。

稲穂が垂れている。
稔りの田
収穫の1ヶ月前には田を乾かし始める・・・あと何日で用水の水は止まってしまうのだろう。水遣りに苦労しそうだ。

耕作放棄地の利用2010/09/02 20:58

耕作放棄地の解消に「農業サポーター」という制度がある。今日はその説明会に行ってきた。制度自体が発足したことは評価できるが、放棄地の解消にはなりそうにない。
農業サポータ第一期の方の報告があった。初期投資が200万円以上で3年目にやっと収支がとんとんになる見込み、とのこと。1000㎡から3000㎡の耕作地で収益を上げることはプロでも困難であるらしい。早朝から夜遅くまで働いても、農業は儲からない、を実感したそうだ。

食料自給率が40%に満たないのに、農地が放棄されている。収益性が低いため農家の生計が立たない、としたら誰がこれからの農業を支えていくのだろうか。
話は飛躍するが、食糧の自給ができない国が、国防予算を5兆円もかけることに意味があるのだろうか・・・憲法9条もあるのに・・・私たちの神経のどこかが麻痺しているのでしょうね。
世界には食糧不足で飢えに苦しんでいる国が少なくない。自然に恵まれながら自給率の低い日本の食糧事情が悪くないのは、お金で世界中から食料を集めているからだろう。中には、お金のために自国の飢えから目をそむけ日本に食糧を売っている国もありそうだ。そうだとしたら、世界平和に反する。

農業サポーターは趣味としてではなく、農家として農業に取り組むことになるらしい。3000㎡ばかりの農地に管理機(耕運機)3台を買う気になれない。この他、刈払機、小型トラックや農業資材など合わせると200万円以上。趣味としては高すぎる。農家として、100万円の売り上げで種苗代、資材代等100万円では成り立たない。
こうしたことを踏まえると、農業サポーターに応募する意味はあまりなさそうだが、来年は応募してみようと考えている。

今日の農作業時間9時~11時
ほとんど水遣りで終わってしまった。周囲の田んぼに水が入っていない。
田の水がない
そろそろ用水の水が止まりそうだ。
用水の水
ポリタンで流れを遮ると水位が上がり、取水しやすくなる。水遣りの後、貯水槽をすべて満水にして作業を終えた。

焼け石に水2010/09/03 20:49

8月27日にキャベツなどの苗を植え付けて以来、毎日が水遣りで終始している。少々の水ではまさに「焼け石に水」の状態になってしまう。
ナス1畝10株にポリタン2本分でこの状態。
長ナスの様子
研修同期生のIさんが畑を訪れてきた。水遣りの様子を見て「ご苦労さん」ではなく、「水が豊富で羨ましい」と言われた。炎天下でいかに体力を使おうと、水があるだけ幸運なのだ。

農業サポーターとなって広い畑を手に入れても、天水頼りで水場がないと致命的な打撃を受けることがありそうだ。
異常気象といわれているが、人間の都合から見た異常で、地球を取り巻く環境は常に変化しているのだから、正常な気象とは、人それぞれの都合によい天候が続くことなのだろう。
気候の変動の幅が多少大きくなったとしても、それに対応できるのは自然農法ではないのか。
種を蒔き、丹精込めて育苗したトマトは終わってしまったが、自生(野生)のトマトは未だに勢いが衰えていない。自然の選択という試練を乗り越えた「種」と野草の共生が実現できれば「異常気象」にうろたえることはないだろう。
自生のサトイモ
自生のサトイモ
施肥もせず草マルチと水遣りだけしかしていないが、サトイモの中で一番収穫が期待できそうだ。

虫めづる姫君2010/09/04 20:14

今日、久しぶりにKMさんとMSさんが畑にやって来た。応援があるので水遣りしながら他の作業ができる。昼過ぎに作業が一段落した頃、KMさんがサトイモ畑で大きなスズメガの幼虫を数匹捕まえた。大事そうに手のひらに載せている。サトイモの芋虫が可愛いのならば、ゴマについていたゴマ虫(8月20日に画像を掲載)はもっと愛嬌がある。見せたあげたかったが、ゴマは収穫を終えていてゴマ虫の姿はない。
持ち帰りたいというので、ペットボトルを細工して中に入れた。これで持ち帰れるが、中で3匹がうごめいている様子はちょっとグロテスク・・・さすが、生物学の専門家の卵、好奇心旺盛で観察に余念がない。KMさんも私もここまで客観的になれない。

手伝いもあり、準備もできていたので、以前から考えていた実験的な栽培方法を試してみることにした。
「別冊現代農業2008年7月号・農家が教える混植・混作・輪作の知恵」のP.55に「緑黄色野菜を切らさない空き地への全面混播方式」というのがあった。
中心作物の周囲のスペースに数種類の緑黄色野菜の種を混ぜて蒔くというものだ。
本の中ではジャガイモ、ニラ、インゲンが中心作物だが、ブロッコリーとカリフラワーの畝で試してみることにした。
1週間前に畑の深いところから掘り出しておいた粘土質の土をフルイに掛け砂状にする。
ニンジン、二十日ダイコン、ワサビ菜、ホウレンソウ、チシャ・レタス、ルッコラ、ミズナなどを砂状の粘土に混ぜ、草マルチの下に蒔いた。最後に水遣りをして終了。
成功すれば、ドレッシングを用意するだけでサラダの材料がほとんど揃ってしまう。実験には失敗がつきものだが、すべて失敗ということはないだろう。
この数日、水遣りだけで手一杯な上、疲労もあって他の作業が延び延びになっていた。二人の手伝いがあったので播種までやり終えられたが、写真を撮る余裕がまったくなかった。

努力の跡2010/09/05 19:54

この10日間、毎日水遣りに暮れた。ポリタン2本を一輪車に積んで15往復ほどしたためか、通路の草が剥げてしまった。
一輪車の轍の跡
水遣り10日目の今日、水運びをしなかった。その余裕で通路の轍に気づいた。努力は報われるのか・・・
水遣りの難しそうな畑の様子を見ると、サトイモの葉が茶色く枯れて、株自体も小さい。
水不足のサトイモ
手前には用水路があるが、勝手な取水は許されないようだ。台風9号が日本海を通過する木曜日辺りに雨が期待できそうだが、それまで水遣りを続ける必要がある。
とはいえ、「努力が報われる」というのは予定調和で必ずしも真実ではない。「正義は勝つ」も幻想というか、希望でしかない。実現するよう努力して、その可能性が出てくる程度のことだ。憲法の前文にも、その理念の実現には「不断の努力」が必要とある。
今のところ、わが畑のサトイモは比較的元気がよいが、用水次第なので、努力が報われるかどうか、わからない。
サトイモ
異常気象というが、水の豊富な日本で、この程度ですぐに畑が水不足になるのはおかしい・・・畑作をするすべての人に無償で水を供給できる体制があってよいはずだ。用水といっても、生活雑排水で溢れる下水のような水を使わざるを得ない人が多い。野菜は虫食いのない見かけさえよければ、あとは何でもよい、というのだろうか。
稲作用の用水路の水を大々的に利用するには、それなりの出費も伴うし、農家でない人間にはその他の困難が伴いそうだ。食糧自給率が低いといいながら、お金が必要な所に回っていないのだろう。
温暖化が進むにしたがって、気候の変動の幅が大きくなることは予想がつく。気温はともかく、小川のせせらぎが聞こえる用水がどこにもあって、畑作で水不足に悩まない施設があってもよいのではないか。