仮説から実証へ2011/01/07 09:09

最近、社会科学、自然科学を問わず、学者と言われる人たちの言動に疑問を抱くことが多い。技術革新の速度が高まり、安全性の確証が得られていなくても「まず、絶対安全と言える」という学者の言葉に不信感を持つ。
原子力利用についてだれも100%安全とは言えない状況で、金属ナトリウムによる冷却を行う高速増殖炉の「もんじゅ」による発電計画を推進し、現場を担っている科学者たちは何を考え発言しているのだろう。「100%確実」は学者ならば絶対に口にしない言葉である。
金属ナトリウムが水分と接触して激発反応を起こせばチェルノブイリ並に放射性物質が撒き散らされ、人口稠密な日本では致命的な被害をもたらすことが想像できる。当然、偏西風の影響で高速増殖炉より東側に位置する地域の重大な汚染は免れない。放射能汚染が解消されるには数千年の年月が必要だ。その間、汚染された農産物で飢えを凌ぐことになる。
これほど重大な問題を含んでいる計画が何事もなく着々と進んでいる。甚大な災難に遭遇して初めて立ち止まり考えるのだろう。
しかし、一個人が重大な危険性を訴えても、一仮説にすぎず、実証できなければ存在しないのと同じで、当然無視されてしまう。かといって実証するのは無理かというと、そうでもない。被爆国の日本では、すでにその検証がなされてきているし、多くの国民は、兵器、平和利用を問わず放射線被害の重大性を認識している。被爆経験が活かされないのは何故か。

農業に関わるようになって、「仮説から実証へ」を毎日楽しんでいる。『微生物生態学入門」(日科技連)によれば、微生物の種類や数はほとんど分かっていないのだそうだ。まして、微生物社会の関係=生態などはまったくの未開分野ということになる。微生物と植物の関係が明らかにされてきたのも最近の話だ。
この新しい分野では、金に目が眩んだ学者たちが、基礎研究を疎かにし、実利優先で「100%確実」なんて大言するする前に、現場にいる素人百姓が仮説を立て、栽培を通じて実証していくことができるかもしれない、と考えることは興味深い上に、胸がスッとして痛快な気分になれる。

天候:晴れ 気温;-2℃-8℃
作業時間:11:00-12:30
露地栽培のワサビ菜、チシャ(レタス)、ミズナをビニール・トンネル内に移植。
ワサビ菜、チシャ、ミズナを移植
発芽の芳しくないダイコンの畝に植え付ける。
ビニールトンネル内に移植
暖かなビニール・トンネル内で順調に生育してくれると、サラダの材料に不自由しなくて済みそうだ。地温を測る。
ビニール・トンネル内の地温
17℃近くある。座間市の年間平均気温に近い。夜に気温が下がっても、土は蓄熱効果が高いので急激に温度が下る心配はない。
ついでにサトイモやショウガを貯蔵している場所の表面近くの地温を測る。16℃近くある。
サトイモ、ショウガ貯蔵の地温
半透明のビニールで被覆した効果が出ている。先日に測定した時は10℃を下回っていた。内部の温度はせいぜい10℃くらいにしか保てないだろう。凍結は免れそうだが、ショウガはどうなるのか。

液肥を暖かい陽だまりに移動。
液肥を暖かい場所に移動
古い南京袋で周囲を覆うなど工夫をしないと、発酵に必要な温度を確保できないかもしれない。

コメント

_ Uターン帰農者 ― 2011/01/08 12:01

「素人百姓が日々実証、痛快だ」は同感ですね。学者は研究発表しなければ存在意義がないので、焦っているんでしょう。以前、「〇〇菌」の特許を取りたいと言っていたので、どこにでもいる菌に特許とは何を考えているんだと言ったことがあります。T.Sさんのように米ぬかを使ったボカシが常道ですよね。
T.Sさんがいろんな仮説を試行されている姿勢には、感服しています。これからも、報告よろしくお願いします。
原子力は難しいな~。技術者の倫理観が重要な気がしますが。

_ T.S ― 2011/01/08 18:23

仮説から実証へ、なんて偉そうなことを書いていますが、実際にはドタバタです。研究者たちの現場もドタバタ=試行錯誤なのでしょうが、仮説の立て方、実証の方法などのレベルが違うのでしょうね。素人でも実証に必要なデータをきちんと蓄積していけば、何らかの成果を得られるだろうと考えています。
原発というとチェルノブイリの事故が頭に思い浮かびます。とても対岸の火事と傍観する気分にはなれません。当事者が責任を取る、と言っても原状復帰は望めません。広大な農地がいかに肥沃であっても、荒野同然になってしまう、と想像できないのかな…。現代社会の深刻な問題は、想像力の欠如ではないでしょうか。

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